2016年

5月

24日

読書日記「辰巳芳子の旬を味わう」&なすの泥亀漬け

この前「鬼平料理帳」という本に

辰巳浜子さんの「料理歳時記」からの引用で

なすの胡麻漬けという料理が出てきて

 

ああ、そうそう、と、すごく懐かしくなりました。

というのも、このナスの胡麻漬けって

辰巳芳子先生の代表料理の一つで

「旬を味わう」という本の中で紹介されているそれを、

今までに何回も作ったことがあったからなんです。

 

そしたら、急にもう一度読み直したくなりました。

 

「辰巳芳子の旬を味わう ――いのちを養う家庭料理」(辰巳芳子著 NHK出版)

 

昭和35年に出版された、辰巳浜子先生の「手しおにかけた私の料理」

お母様から引き継がれた、この名著を、出版後30年たって復刻されたのが、

「辰巳芳子が伝える母の味 手塩にかけた私の料理」(婦人之友社)

 

そして、その中におさめられたレシピに

自らのイタリア、フランス、茶懐石などの手法や、知識を入れ

写真と、解説とレシピという形にして、まとめられたのがこの本です。

 

「手塩にかけた私の料理」の冒頭に書かれている

時代の推移により、素材の状況、それを扱う人々の状況がかわり

多くの改良をしてきても、本だけが取り残されてしまう部分もある、

という一文には、せつないような、息苦しさを感じながら

おおいに共感してしまいます。

 

レシピは生もので、確実に賞味期限があり

その時、その時代の、人の暮らしに沿ったレシピを提案すればするほど

あっという間に、時代がレシピを追い越してしまい

新しいアイデアも、新しい手法も、すぐに普通のありふれたものになるか

あるいは、一時の驚きだけで終わってしまうか。

 

だから、私も、レシピを発表するたびに、少しずつ手を加えて

決して、古臭くならないように、必ず書き直しています。

どんな定番レシピであっても

今の時代に合うように、レシピのメンテナンスしていくこと

これも、家庭料理研究家の大事な仕事だと思っています。

 

辰巳先生が、この「旬を味わう」をまとめられたお気持ちは

決して古くならないように、完璧な考察と、確かな手法と、それを伝える言葉と

すべて、選んで選んで、まとめ上げられたことが、どのページからも伝わってきます。

 

だからこそ、今なお、多くの料理を志す人に

多大な影響を与え続けているのだと思います。

 

さて、なすの胡麻だれ漬けです

 

「手塩にかけた~」のほうでは、なすの胡麻ダレ漬けで紹介されているのですが

「旬を味わう」では、なすの泥亀漬けという名前に変わっています。

 

この泥亀というネーミングは、明治、大正期の小説家村井弦斎からのものだそうですが

この“泥亀”というのが、とっても言い得て妙というか、インパクト大で

この本の中で最初に作ったのがこれだったので、すごく思い出深いのです。

 

 

今日は久しぶりに作ってみました。

出来上がり、めちゃめちゃインパクトありません?

まさに、泥亀!!

 

油で焼いたなすを

黒ゴマと、砂糖、しょうゆ、酒、しょうがを混ぜたもので和えるだけ。

 

ただし、レシピ通りだと、ごまをトロリとなるまですらないといけないので

これはかなり手間がかかります。

なので、私は、市販の練りごまを使っちゃいました。

 

「手しおにかけて~」のほうでは4つ割りにしたなすを漬けこみ

「旬を食べる」のほうでは、半分に切ったなすを漬け込むようになっていて

 

おそらく、漬けこんでいる間になすから水が出るので

なすからなるべく水を出さないことで、和え衣が水っぽくならないように、改良されたのかなと思いつつ

 

私は、あえて、長さを半分に切ってから、それぞれを4つに切る8つ割に。

これだと、胡麻和えにしたときに、めっちゃ水が出やすくなるのですが

 

逆にそれを利用して

和え衣には酒を使わず、練りごま、砂糖、しょうゆで硬めにしておいて

なすの水が出てちょうどとろりといい感じの濃度になるようにしました。

 

また、小さく切ることで、食べやすく、口の周りに黒ゴマがつかないのもいいかなと。

 

黒い食べ物は体にいいということで、あえて黒ゴマのレシピにされたそうなのですが

体にいいだけではなく、白ごまよりも黒ゴマで作るほうが、

香りも濃くも旨みも、断然いいのです。

 

胡麻和えにおろししょうが?とも思ったのですが

これは、意外によく合って、しかも黒ゴマだけだとちょっと重たいのが

しょうがが入ることで、食べた感じがぐっと軽くなるのです。

なので、しょうがは絶対外せない。

 

この黒ゴマの衣がすごくおいしいので

他の野菜を和えるのもありだなと思い、やってみたのですが

いかんせん、どんな野菜をあえても真っ黒の泥亀になってしまい

見た目がどうしてもトホホに。

 

そこで、こんなにおいしく、黒ゴマの栄養が取れるのだから

何かいい方法はないかなと考えた結果

 

 

野菜のデイップソースとして使うことを思いつきました。

ちょっとねっとり硬めですが

お味噌をつける感覚でつけると、結構野菜がモリモリ食べられます。

 

ここでは、キュウリと人参ですが、

ブロッコリーや、株や、大根、グリーンアスパラなんかも合います。

これなら、泥亀ではなく

なんだかちょっと、おしゃれな料理に見えませんか?

 

 

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コメント: 4
  • #1

    Yu-Ki (火曜日, 24 5月 2016 07:06)

    奥薗先生、おはようございます。
    見事なまでの“黒”ですね。
    イカスミよりまだ黒い!!。
    栄養もたっぷりありそうで(^O^)。

    そうか、レシピは生物なんですね。
    新鮮さが求められるのですね。
    辰巳芳子先生、もう大大大先生ですね。
    いったいいくつのレシピと何度も向き合ってきたのだろう。
    だから今もお若くいられるのでしょうね。

    ディップ、岩のりみたい(^O^)。
    言われなければ、食べるのをためらってしまいそうです が、興味津々の一品(逸品?!)です。

    先生、今日も1日暑さにお気をつけくださいq(^-^q)。。

  • #2

    ぷくちゃん (火曜日, 24 5月 2016 23:10)

    奥薗先生、今晩は。

    私が持っている先生の本でも、似たレシピについて新しい方の本は前のものに比べて改良されている(より作りやすい、より美味しい等)と感じる時がありますが、それもメンテナンスなんですね。

    それにしても泥亀、まさに言い得て妙、ですね。

  • #3

    おくじょの (水曜日, 25 5月 2016 01:50)

    Yu-Ki様

    一生かかって、一つの道を究めるというのは、それだけで尊いですね。
    私も、一生料理の道を進んでいきたいと思っていますが、先生の域に達するまでには、まだまだ遠い道のりです。

  • #4

    おくじょの (水曜日, 25 5月 2016 01:52)

    ぷくちゃん様

    そういうことなんです~!!!
    レシピを発表した後も、まだもっとおいしくできるんじゃないか、もっと簡単にできるんじゃないかといつも考えていて、その結果、少しずつレシピが変化していくのです。