でいりいおくじょのBLOG

2020.02.03

読書日記「たそがれてゆく子さん」

以前から読もうと思って、なかなか読めなかった本を

ようやくよむことができました

 

「たそがれてゆく子さん」(伊藤比呂美著 中央公論新社)

 

この本は2016年~2018年の間に

婦人公論で連載されていたものを中心に

他で書かれたものも含めて、一冊にまとめられたものです。

 

この2年間、伊藤比呂美さんにもいろいろあり

夫の老い、介護そして死

その後の孤独と秘めた悲しみ、

熊本の地震

娘さんの結婚、

日本への帰国(アメリカに在住されていた)

というような、

何とも、濃厚な時間がそこに流れています。

 

読み始めてすぐは、

こちらも心して読まないと、言葉に飲み込まれてしまいそうな気がして

読み進むことが出来なかったんです。

 

詩人の言葉は、何気なく書いておられる言葉でも

すごいエネルギーを秘めているの

 

そんな風に書くと、めちゃめちゃシリアスなトーンなのかと思うかもしれませんが

いや、そうじゃなくて

語り口は軽妙で、決して暗くはないのです。

 

けれど、やっぱり、力がすごくて

無防備に読み進めば、心にズドーンズドーンと強烈な何かをくる。

 

言葉の力が半端ない。

 

それにしても、

一人の人の書かれたものを

ずーっと何十年も読み続けていると

自分自身の人生も、その上にオーバーラップして

私も長く生きてきたなあ、ってしみじみ思う。

 

アメリカで暮らしておられたので

ご主人がなくなられた後、アメリカの家をどうするのか、

自分だけ日本に帰るのもいいなと思うんだけれど

自分が年を取った時

その世話をするために、

子供たちがアメリカと日本を行き来しなけれならない日本に帰ってくる不便さを考えると

アメリカに住み続けた方がいいと決心されるんだけれど

運命は、予期せぬ方向に動きます。

 

日本の大学で3年間、教えることになって

とりあえず3年間日本に帰ってこられることになるんです。

 

自分では、将来こういう風に生きよう、こういう風に暮らそう

なんて思っていても

全く違う結末になる可能性は大なんですね。

 

伊藤比呂美さんの人生を疑似体験させていただくことで

結局、人生は予測不可能で

なるようになるしかないのかも、って思えて

なんかちょっと、気が楽になりました。

 

たそがれてゆく子さん

いいタイトルですね。

 

私も、あれこれ考えないで

たそがれてゆこうと思います。

身を任せてたそがれていけば、きちんと最後は自分の身の丈に合ったところに着地できる気がする。

2020年2月2日たそがれてゆく子さん

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