でいりいおくじょのBLOG

2020.02.27

読書日記「死してなお踊れ 一遍上人伝」

昨日書いた、「村に火をつけ、白痴になれ」

いきなりアナーキーな世界に入るのが怖くて

ちょっとワンクッションのつもりで、その前に読んだのがこの本

 

「死してなお踊れ 一遍上人伝」(栗原康著  河出文庫)

 

タイトル通り、一遍上人の評伝です。

 

一遍上人といえば、あれですよ、踊念仏

ひたすら踊りまくって念仏する方

鎌倉時代のお坊さん、時宗の開祖です。

 

実は、この本は、野枝伝の後に書かれたんですけれど

だからというか、やっぱりというか

一遍上人も、めちゃめちゃアナーキーです。

 

この一遍上人、もともとは武士の生まれなんだけれど

幼いころに寺に入って出家し

その後いったん還俗して、妻をめとり子供まで生まれた後

思うところあり、妻も子供も捨てて、再び出家。

 

ところが、その妻も子供が、私たちも一緒に出家しますって言って、ついてきて

一緒に修行の旅に出ちゃう。

 

一遍上人は、もとは浄土宗で法然LOVE。

法然といえば専修念仏

ひたすら南無阿弥陀仏を唱えなさいという教えなので

一遍上人も、ひたすら南無阿弥陀仏を唱え続けたわけです。

 

ところが、一心不乱に南無阿弥陀仏を唱えているうちに

身体が勝手に動き出し、

唱えて踊って、唱えて踊ってがエスカレートして

やがて、もういろんな邪念も何もなくなって

ひたすら南無阿弥陀仏をとなえながら、踊りまくるスタイルになっていくんです。

 

床が抜けようが、横で誰かが倒れようが

とにかく念仏を唱えて踊りまくる。

もう何が何だか分からない、トランス状態。

 

いやあ、これ、実際目の前で見たら

めちゃめちゃ感化されると思う。

 

時は鎌倉、あっちもこっちも世紀末。

そんな時に、南無阿弥陀仏で踊りまくって、トランス状態になったら

悲しいことも、苦しい事も、貧しいことも、つらいことも

全部忘れて、本当に浄土に行けそうな気になるわ。

 

やがてどんどん人気が出ちゃって

あっちからも、こっちからも、うちに来て踊念仏やってくださいって引っ張りだこ。

で、あっちでもこっちでも踊念仏をやって

みんなでトランス状態、みんな嫌なことを忘れて

これでみんな一緒に極楽に行けるわ~ってなって、感謝されまくる。

 

一遍上人すごいです。

 

更に、一遍上人のすごいところは

捨てて、捨てて、捨てまくるんです。

 

地位とか、財産とか、名声とか、全部全部捨てまくる。

 

持ち物も最低限のものしか持たず

教団を作ることも禁じ

上下関係も作らない。

 

最後は、自分の書いたものを全部焼き捨て

とにかく、捨てて、捨てて捨てまくって

体一つで死んでいく。

 

究極のアナキストであり

元祖ダンシャリスト(?)でありました。

 

それにしても、

栗原康さんの文章が、個性的で、面白すぎて、強烈すぎて

文章のリズムに中毒性があって、文章に飲まれていくんです。

 

読んでいると、文章のリズムで、読んでいる私がトランス状態になっていく。

 

途中から、栗原さん自体が一遍上人に憑依して

なんか、大きな踊念仏のうねりに飲み込まれる感じ。

 

この感じ、読んでみないとわからないと思う。

 

すっごくハマるか、すっごく嫌いか

好き嫌いは分かれるかもしれないけれど

私は、めちゃめちゃ好き。

2020年2月26日死してなお踊れ1

 

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