でいりいおくじょのBLOG

2020.05.09

読書日記「世界の野菜を旅する」

ところ変われば野菜も変わる

自分が知っていると思っていた野菜が

他の国では、全く違う顔をしている

 

「世界の野菜を旅する」(玉村豊男著 講談社現代新書)

 

家の本棚を整理していて見つけた本。

昔読んだことがあるんだけれど、あらためてもう一度読んでみました。

 

タイトルがちょっとわかりにくいのですが

世界を旅しているのは、著者の玉村豊男さんで

世界のあちこちで食べた野菜料理の話と、野菜の起源や野菜にまつわる話やらが書かれています。

 

玉村豊男さんといえば

長野で大きな農場をされていて、野菜を出荷もされているし

ワイナリーとレストランも経営されていて

作った野菜は、そこのレストランの料理として提供されている

文筆家でありながら、野菜と料理のエキスパートでもある。

 

東京大学仏文科卒の経歴からしても、ヨーロッパの料理や文化にはお詳しいのは明らかで

加えて、本当に世界中を旅して、あちこちでおいしいもの、珍しいもの、その土地の伝統的なもの、いろいろ召し上がっておられる

 

日本からほとんど出たことがないような私としては

どの話も、どの話も新鮮で面白いことばかりでした。

 

章立てとしては

キャベツ

じゃが芋

唐辛子

なす

里芋

テンサイ

 

というような流れになっているのですが

凡そ、スーパーで普段買うような野菜についてはすべて触れられています。

 

どんな話が書いてあるかというと、

 

例えば、

ポルトガルに「カルドヴェルデ」(緑のスープ)というのあって

これは、ポルトガルの家庭料理を代表するスープなのだそう。

 

緑のスープの緑は何かというと、キャベツなんです。

 

キャベツというのは、もともと結球しない野菜で(ほら葉牡丹みたいな感じ)

緑が濃くて、硬い。

 

品種改良によって、キャベツは結球するようになり

結球させたことで、

キャベツは白く柔らかく、生でも食べれるようになったんです。

 

という事は、結球しない緑の濃いキャベツは、どちらかというとゴワゴワしているから

くたくたに煮て、食べるのが、簡単で美味しく食べる料理法だったってことです。

 

このキャベツのスープには、もらもらっとしたものが入っていて

これがじゃが芋。

マッシュポテトみたいな感じで、もわっとした感じが味噌汁に似ているのだそう。

 

これって、たぶん、キャベツと一緒に煮ている間に

じゃが芋が煮溶けてもらもらになったんじゃないかと思うんです。

 

以前読んだ、開高健さんの本の中にも

似たようなスープの話が出てきていて

たいていは、野菜と水を煮ただけのスープで

それにパンを浸して食べると書いてありました。

 

パンは、まとめて焼いて、カチカチに固くなったパンを削り取って

スープに入れてふやかして食べるのが普通。

って書いてあったから、

そのパンがじゃが芋になったような感じかなって思いました。

 

日本でいえば、野菜を煮込んだおじやみたいな感じ?

野菜スープ+主食的な。

 

スープに、ほんの少しラードなどの動物の脂を削って入れると

ぐっと旨味が増すっていう生活の知恵も、

あちこちで共通しているかな。

 

開高健さんの本では

天井から、ひもでくくった肉の塊がぶら下がっていて

これをぽちゃんとスープに浸けて引き上げるやり方が書いてありました。

脂身のついた塊肉を、鍋にぽちゃんと浸すことで

スープにうっすらと、脂が浮く。

それだけで、肉が入ってなくても、ぐっとコクが出て、上等になり

何度でも何度でも、使える。

 

これも、私たちの暮らしに照らし合わせてみると

味噌汁に油揚げを入れるのが、ちょっと近いかもって思う。

油揚げの脂が入ることで、味噌汁がぐっとおいしくなる。

油揚げは具としても、おいしく食べるけどね。

 

世界は広くって、一見全然違うようなことでも

日本だったら、これは何に似ているだろう

って考えるもが面白い

 

そして、ちょっと見る角度を変えて考えてみると

少しでも、おいしくするためにやることや

ちょっと手を加えることで、ぜいたくな気持ちになる事とか

世界共通、そんなに変わらないのかなって思う事もたくさんある。

それもまた、面白い。

 

それにしても、一冊の本を読むだけで

行ったこともない外国の食文化や、野菜の歴史にどっぷり浸れて

なんともお得感満載の本でした。

 

読み終わった後は、あの野菜も、この野菜も

あれこれ料理して、いっぱい食べたくなりました。

 

2020年5月8日世界の野菜を旅する1

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