でいりいおくじょのBLOG

2020.05.28

読書日記「ファーストラブ」

恋愛小説みたいなタイトルなのに、ミステリー。

直木賞作品で、来年映画化。

娘が読んでいた本ですが、

ちょっとミーハーな気分になって、娘から借りて読んでみました。

 

「ファーストラブ」(島本理生著  文春文庫)

 

まずはざっくりとしたストーリーから

 

アナウンサー志望の女子大生、聖山環菜が

採用試験面接の直後に父親を殺害する事件が起きるんです。

 

聖山環菜は逮捕直後に

「動機はそちらで見つけてください」

という謎の言葉を残す。

動機が分からない。

なぜ、彼女は父親を殺したのか!!!

 

と、これが表向きのストーリー。

 

でも、読み終わった後に、心にどよーんと残ったのは

こういう、サスペンス的なストーリーというよりは

どうしようもない親子の関係でした。

 

この本の中に登場するのは

環菜と、殺された父親、母親

臨床心理士の真壁由紀(環菜の半生を本にすることになっている)。

環菜についている国選弁護士の迦葉。

 

この3人、ともに特殊な親子関係の中で大人になっているんです。

 

ミステリー小説なんで

あまり詳しくストーリーを書きませんが(是非読んでみてください)

きちんと親に愛されずに育ったこの3人が

親との関係に、どういう風に向き合い、

どういう風に、その関係に終止符を打って、生きていくのか。

そこが、一番のテーマとなっているように思いました

 

ファーストラブというタイトル

このタイトルが、すべてを言っている気がする。

 

つまり、子どもにとって、親への気持ちは初恋みたいなものだと思うんです。

純粋に、その人を想い、その人から愛されたいと思う。

 

きちんと初恋を終わらせた人は、その後もいい恋ができるが

そこで躓いてしまった人は、そこを抜け出すためにもがき苦しむ。

 

親子の愛情も、それと同じ。

 

きちんと親に愛されて育った人は

きちんとそこから卒業して、別の人を愛することができるけれど

そうでない場合もある。

 

ひたすら一途に、親を想い、

自分を見てほしい、愛してほしいと、狂おしいほどに想うのに

通じない苦しみ

 

親に愛されない苦しみは

思いが通じない、初恋の片思いと同じだ。

 

相手を求める気持ちが強くなる分

相手を求める気持ちが、自分をがんじがらめにし

時に、気持ちの通じない苦しみは憎みや嫌悪にもなる。

 

親子の愛情の形は

子供の方からすれば、どうすることもできないのかもしれないけれど

そこから、抜け出す手段はあるはずだと思う。

 

人生の最初で躓いてしまった人に対して

親の愛情をきちんと受けて育った人

つまり、人生の初恋をきちんと経験して、きちんとそこにピリオドを打って

親でない別の誰かもきちんと愛せる人は

それだけで、周りの人に光を与えるなあ

 

この小説の中にも、一人だけそういう人が登場していて

その人が出てくると、なんだかほっと救われるような気持になりました。

 

いずれにしても、テーマとしては重かった・・・。

 

2020年5月27日ファーストラブ

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