でいりいおくじょのBLOG

2014.04.12

読書日記 「山賊ダイアリー」1~4巻(岡本健太郎著 イブニングKC)

先日、息子の友達がたぬきを捕まえたといって

たぬきを持ってにっこり笑っている写真をメールで送ってきました。

その友達って、練馬に住んでるんですけど

練馬でたぬき、生け捕りできるんですね。
 

で、そのたぬき、どうするんやろう?

という話になって、よく昔話でたぬき汁にして食べるシーンが出てくるから

たぬき汁にするんやろか、といっていたら

どうやら、家で飼っているらしい。

「家でたぬき飼えるん?」と私がいったら

息子いわく

「大丈夫ちゃう?孔雀もいるし・・。」

・・・って、どんな家なんや・・?

そんなことを思っていたら、猟師をテーマにした漫画があると知り

読んでみたのがこの本。

現役猟師である著者が綴る、狩猟日記マンガです。

軽い気持ちで読み始めたつもりが

めちゃめちゃ面白くて、4巻まで一気読みしてしまいました。
 

何が面白いかというと

猟師ですから、イノシシ、しか、鳩、兎、いろんな獲物に挑む

そのそれぞれの獲物にまつわる物語も、もちろん面白いのですが

取った獲物は、とにかく全て自分でさばき、料理して食べる。

その料理がものすごく詳しく描かれていて

それが、もうほんとうに面白いのです。
 

鳥なら、羽をむしり、内臓を出し

獣なら、内臓を出して、皮を剥ぎ、骨を抜いて、ブロック肉にして
 

そうか、スーパーやお肉屋さんで売られている肉は

こういう処理がされてここに並んでいるのか

という、当たり前のことに、あらためて気付かされるというか。
 

そして、仕留めたからには、ありがたく全て食べつくす。

命をいただくということは、つまり、そういうことなのだということも

あらためて、教えられるのです。
 

それにしても、

著者岡本さんの食に対する情熱というか好奇心というか、チャレンジ精神というか

もう、本当にすごいのです。
 

蛇とかカラスとかも食べちゃう。

蛇の姿焼きとか、カラスのシチューとか
 

カラスを調理するシーンは、本当に圧巻です。
 

ちょっと記憶があやふやなんですけど

以前読んだ小泉武夫先生の本の中に、カラスを食べる話があって

小泉先生でもカラスに肉は臭くてダメだとおっしゃっていたんですよね。

だから、カラスは食べられないと思い込んでいたから

カラスを捕まえて調理するところでは

おいおい、本当に食べるの?って、私が食べるわけでもないのにドキドキしてくる。
 

著者の岡本さん自身、

カラスがどんな味なのか興味はあるけど

ほんとうに食べられるのかどうか、半信半疑で、周りの人に聞きまくり

食べたことがある人がいたことでホッとして、調理に取りかかる

クシに刺して焼き鳥にするのです。
 

その時は歯ごたえがしっかりしているので脂のない牛肉のような味と書かれています。
 

その後、再びカラスを捕まえ、

今度は、煮込んでシチューにし、友人のマサムネ君にに鴨のシチューだといって食べさせる。

ところが、マサムネ君は一発でこれ、カラスでしょ?と当ててしまうんです。
 

岡本さんは、マトンのクセが許せるなら気にならないレベルだろ?と思うんだけれど

やっぱり、動物臭っていうのは、気になる人には気になるんだろうなあと思います。
 

そういえば、

「科学に佇む一行読書」(私、フォローしています!)

というツイートの中にカラス食について書かれていました。

「動物民族」という本の中に書かれている一文なんだけれど

一昔前までカラス肉を料理して食べているところが全国にかなりあって

「ローソク焼き」とか「烏田楽」として縁日の名物として市販していたり

珍客に対してもてなし料理として出していたらしいのです。
 

ということは、もしかして、これから先、食糧難がきたら

再び烏を食べる時が来るかもしれないってこと!?

いやあ、どうだろう、私、食べられるかなあ。
 

狩猟といえば、

長野の友人宅で、森に仕掛けた罠に掛かった野兎をごちそうしてもらったことがあります。

レストランで、ウサギやはとやなんかは一応食べたことがあったんですけど

自分たちで捕まえた野生の野うさぎを食べたのは、それが初体験で、

正直、未だかつて食べたことがないような強烈な動物臭!。

せっかくのごちそうなので

美味しくいただこうと思う気持ちはあるのですが

あまりの匂いに、けっこう難儀しました。
 

もしかして、罠で捕ったものでなく、

銃で撃った兎なら、もしかしたら、もっと動物臭がなかったのかもしれないのだけれど

(罠にかかってからの時間とか、内蔵をすぐに抜いたかとか、血抜きの方法とかで

かなり美味しさが違うらしい)

野生の動物をいただくというのは

家畜化されて、肉屋で売られている肉を食べ慣れている人間からすると

ちょっとした味覚の練習やら、イメージトレーニングやらが必要かもと思ったのでした。
 

それにしても、

この漫画を読んでると

蛇の心臓(まだ動いているやつ)を、生で丸ごと食べてみたり

羽をむしったり、頭を落としたり

内蔵まで美味しく食べたり、

自然に入り、料理をするというのは、キレイゴトじゃないってこと

命をいただくってことは

なんてすごいことなんだろう、としみじみ思いました。
 

ちなみにこの漫画は

猟師免許のとり方から、銃所持免許のとり方

猟のルールとか、撃ってもいい生き物とダメないきものなど

いろんな情報が盛りだくさんに書かれていて
 

動物の解体は怖くてできないだろうなあと思っている私のような人間でも

猟をやってみたくなってしまう漫画なのです。
 

余談ですが、

たぬきって、臭くて、脂がきつくて、食べると口の中で脂が泡になるそうで

猟師さんたちは、食べないし

犬にやっても、犬も食べないそうな。

なのに、昔話の中で、たぬき汁にする話がなんでよく出てくるんだろう、不思議・・。
 

それから、

鶏の砂肝って、鶏の肝臓ではなく、胃袋の一種のことで

とりは歯を持たないので、餌と一緒に砂をのみこんで

砂肝の中で、砂を利用して食物を砕いて消化するのだそう。
 

そういう、知らなかった情報も盛りだくさん
 

マンガといえども、奥深いです。

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