でいりいおくじょのBLOG

2014.03.10

読書日記 『家めしこそ、最高のごちそうである。』(佐々木俊尚著 マガジンハウス)

話題の新刊本です。

早速読んでみました。
 

著者は作家でありジャーナリスト

奥様と2人暮らしで、朝と夜のご飯はほぼ毎日13年間作っておられるという料理男子。

その毎日の食卓を奥様が写真で撮り、ネットで公開されていたことが

本書を書くきっかけなのだそう。

13年間作り続けているという、その家めしの極意をまとめたのがこの本です。

この本の面白いところは

なんといっても、料理にリアリテイーがあるところ。
 

冷蔵庫にある野菜をもとに

おかず3品手際よく作っていく過程を実況中継的に書かれているのを読んでいると

とても手際が良く、

さすが13年のキャリアはすごいわ、と思わせるものがあります。
 

この本で提唱されている献立の立て方は

料理名からではなく、素材から料理を考え

味付けに変化をつけ

調理法に変化をつけるというもの。
 

たしかに、今日はハンバーグにしよう、とメニューから決めてしまうと

付け合せにブロッコリーやらトマトを買わなくちゃとか

後、何を作ればいいの?ということになりがち。
 

料理は作れるんだけど献立がたてられない

という話をよく聞くのですが

それはつまりこういうことなんですよね。

メイン料理は作れるけど、それに組み合わせるものがわからない、と。
 

私も仕事で献立をたてるヒントのようなものを提案することがあるのですが

その場合

たとえば

料理の手間が重ならないようにするのは大事ですね。
 

例えばメインがフライパンで焼いたり炒めたりする料理なら

もう一品は鍋に入れて火にかけて出来上がるような

手間いらずの煮物だったり、具沢山の汁物だったりにして

後一品は、冷めても美味しく出来る料理

例えば、おひたしとかサラダとか、そういうものを先に作っておく。

まあ、そういう段取りだと、あれもこれもと忙しくないですね。
 

それが、ポークソテーと野菜炒めときのこのガーリック炒め

みたいな組わせだったら、どうやったって同時進行出来ないから

一つ一つはスピード料理でも

台所に立っているあいだじゅう、ずーっと忙しいんです。
 

で、そういうことを考えて

この料理にはこれ、というようにパターン化してしまうのもひとつの方法。
 

ハンバーグならポテトサラダとゆでブロッコリー、それからトマトスープとか
 

鶏の照り焼きだったら、

一緒にねぎを焼いて、あとはきのこの味噌汁と、ほうれん草のおひたしとか
 

いい感じの組み合わせを決めてしまえば、

多少料理の手際が悪くても、段取り良く作れると思うんです。
 

今日は家にあるものだけでチャチャッと作る

というと、いかにも簡単にできそうに聞こえますが

家にあるものだけでささっと作るのって

実は、料理の経験もレパートリーも結構いると思います。
 

大根があるからと言って

大根料理を5つも6つもあげられるようになるには

やっぱりある程度の経験と知識がいるのです。

最初から大根料理のレパートリーがたくさんあるわけじゃなく

サラダにしてみたり、味噌汁にしてみたり、

きんぴら風に炒めてみたり、じゃこおろしにしてみたり

とやっているうちに、気が付いたら

大根があるからあれ作ろう、という域に達するんだと思うんですね。
 

だから、いきなりそんなふうに料理が思い浮かばないのは、まったく普通のことで

だから大根を買ってきたら

とにかく本やらネットやらでレシピを検索して、

あれこれ挑戦してみることがとっても大切。

美味しく出来たり、上手くいかなかったり

そういうことを経験することが、結局は料理を上達させる近道なんじゃないかと思います。
 

ここで、すごく大切なことがあって

それは失敗を恐れず、楽しみにながら作るということ。
 

私は、毎日一つは作ったことのないレシピに挑戦しようと誓いを立てて暮らしています。

(おおげさな・・・)
 

料理研究家ですから

自分のオリジナルレシピはもう数えきれないほどあります

それでも、作ったことのない料理はまだまだたくさんありますし

その日の思いつきで、新しい組み合わせにチャレンジしたりもします。

そうなると、

必ずしも美味しいものができるとは限らない

どうしよ~というものもできちゃう。
 

でも、チャンスだと私は思っていて
 

どう、ひいきめに見ても、この味おかしいやろ、という料理ができると

一瞬気持ちが暗くなるんだけど

その一方で、なんか気持ちが盛り上がってくる。
 

このレシピを考えた人は、この味が美味しいと思って発表しているわけだから

こういう味が好きな人も、世の中に入るんだな、とか

なにか大事なコツを見落としたとか、作り方を間違ったのかなとか

そういうことを考えるうちに、なんかだんだん楽しくなってきて
 

これに何を足せば、私の味覚に合うようになるんだろうとか

逆に何を入れなかったらよかったのかとか

考え始めると、なんかパズルを説いているようで、ワクワクしてくる。
 

そして、あれこれやっているうちに、バチッと味が決まった時の快感!
 

こういうことを書くと、

それは料理が好きだからだよと、言われるかもしれませんが

料理もスポーツと一緒で

鍛えれば、味の修正は確実にできるようになって

それができるようになると、確実に何倍も料理が楽しくなるし

新しい料理にチャレンジするのが怖くなくなります。
 

新しい料理にチャレンジする時のコツは

できるかぎり、シンプルな調味料で味付けされているものを選ぶこと。

アレモコレモといろんな手間や味が入ってしまったものを修正するのは

不可能な場合もあります。

シンプルな味付けのものなら、ほんの少し塩や醤油を増やすだけで

見違えるほど旨味が引き立つ場合もあるし

ほんの少しみりんを加えるだけで

ぐっとコクガ出る場合もあります。
 

出来上がりがなんか物足りないなあ、という場合

ほんの少しの塩味や甘みが足りないということも多々あるのです。
 

後は、楽しみながら作り

失敗しても成功しても、ニコニコ笑って食べること

作った人間がクラークなったら、負けやと、思っています。
 

料理で負けても

食べる時に勝てばいい。

(勝ち負けの問題やないって?)
 

私は、どうしても味が決まらない場合は

ケチャップとか、とんかつソースとか、ポン酢醤油とか食卓に出して

適当に自分で味を整えてね、といって

最終的な味を家族に委ねちゃう時もあります。
 

ケチャップは合うけど、ソースは合わねえよ

等と言いながら食べるのもまた、家庭料理の醍醐味かなと思ったりしています。
 

そうして、美味しかったのかどうか、わからないままワイワイと食事が終わり

なんかわからんまま、お腹も膨れ

なんかわからんけど、家族皆ほっこりする。
 

そういう家めしも最高やと思ったりしています。
 

(読書日記と言いながら自分のことばかり書いてしまいました

すいません)
 

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