でいりいおくじょのBLOG

2014.08.17

そうめんはアルデンテに茹でるべきか?

この前、撮影でそうめんチャンプルーを作ったら

「やっぱり、そうめんもアルデンテに茹でたほうがいいんですかね」

という質問を受けました。

おお~、やっぱり、そんなことを考える人がいたんだ~

と、ちょっとうれしくなった私。
 

実は、私もそれが気になって、いろいろ調べて実験してみたのでした。

結論を書く前に、まずはそうめんの定義から。
 

そうめんによく似たものにひやむぎがありますが

この2つ、似ているようだけど、実は全然別モノなんですよ。
 

もちろん太さが違う。

そうめんは直径1.3ミリ未満、ひやむぎは直径1.3ミリ以上。1.7ミリ未満

(半田そうめんみたいに、昔から太いのもあるから、一応手延べ麺なら1.7ミリ未満の場合どちらを表記してもいいらしい、ややこしいなあ・・)
 

決定的な違いは、太さではなく製法。

そうめんは、ひも状の生地を熟成させながら細く伸ばして作るのに対して

ひやむぎは、生地を平たく伸ばして、包丁で細く切る。

つまり、そうめんは手延べ式、ひやむぎはきり麺式のめんってわけ。
 

じゃあ、そうめんとひやむぎ、どちらのほうが歴史が古いかというと

それはもう、断然そうめん!!
 

ここからは、石毛道直先生の『麺の文化史』(講談社学術文庫)の受け売りですが
 

麺の生地を平たく伸ばすためには大きくて平たい帰途、正確に丸い麺棒が必要になります。

大きな板を作る縦引き製材用の大鋸が中国から伝来したのが15世紀

平面を削り出す大カンナが普及したのが16世紀らしいので

切り麺が普及したのは、室町時代以降。

一方そうめんは、奈良時代ころから、専門の職人さんによって作られていたそう。

まな板も包丁もなして作れるのでね。

ちなみに日本で一番古いそうめんのブランドは、奈良の三輪そうめん。
 

さて、そのそうめん

室町時代の一般的な食べ方は、「むしむぎ」といい

一度ゆでたものを、再度蒸して食べていたそうな。

水につけて冷やして食べる食べ方も、あったようなのですが

そうめんは、蒸し麦、冷やして食べるのがひやむぎ(切り麺式のやつね)
 

一度ゆでたものを、なぜもう一度蒸しなおしたかというと

まとめてゆでて置いたものを、時間がたった後もおいしく食べられる便利さとか

蒸しなおしたほうが、もちもちするとかといった理由だったそう。
 

と、ここでそうめんチャンプルーに話を戻すと

なんで、ゆでたそうめんを炒めたのかという理由が見えてきませんか?
 

つまり、まとめてゆでたそうめんを蒸す代わりに、油でいためた。

沖縄って、中国の文化が入ってきているから

油で炒めるってことが普通に発想としてあったんだと思うんです。
 

となると、そうめんチャンプルーのそうめんは、わざわざこのために茹でるのではなく

まとめてゆでて置いてあったものを使うってこと。

そう考えたほうが自然ですね。

つまり、アルデンテって発想は入り込む余地はなく

ゆでて時間がたって、もちもちっとした麺で作ったものが本来の姿だと思うんです。
 

ほら、昔ながらのナポリタンスパゲテイーって

あらかじめゆでて置いたもので作ったほうが、おいしかったりするじゃないですか

アルデンテとは程遠いんだけど

あのなんとも言えない麺の食感が、おいしいと思える。

あれ、日本人のDNAの奥深いところが反応しているんじゃないかな。

日本人って、世界的に見ても少数派のもち系食感を望む民族だし。
 

そういう意味では、あちらの方はどうも、幾分芯が残ったようなものを好む民族ですよね。

米だって、あちらではアルデンテだし。
 

日本人の感覚からいうと

おいしいご飯の定義って、やっぱりふっくらもちっと炊きあがったご飯のことだと思うんです。
 

昔、料理教室で土鍋で作るパエリアを作ったことがあって

ふっくらおいしく炊き込みご飯風に炊き上げたら

「アルデンテじゃないんですか?パエリアなのに?」といわれたことがあり

あのころまだまだ未熟だった私はひどく落ち込んだことがありました。
 

で、土鍋を使って、どうやったらお米に芯が残るように炊き上がるのか

必死で研究したんだけれど

結局、自分が何やってるんだろう、とはたと気が付き、やめました。
 

土鍋を使ってご飯を炊くのに、なんでわざわざ芯を残さなきゃならんわけ?

本格的に作りたいなら、パエリア鍋で作ればいいわけで

土鍋でご飯たくって時点で、日本人好みのごはんにするってことだから

名前はかっこよくパエリアって言っても

結局は、シーフードの入って炊き込みごはんでいいやん、と思ったのでした。
 

話が、横道にそれました、そうめんです。
 

パスタに超硬質小麦のデューラム小麦を使っていることも

芯のこったゆであがりにするのには大切なことらしい。

ということは、中力粉を使って作るそうめん、

ますますアルデンテに茹でるのは難しい。
 

でも、まあ、なんやかんや言っても、もしかしたら、

うまくアルデンテに茹でたらそうめんが、めっちゃおいしくなって、

新たな食の世界が広がるかもしれない

そりゃあ、やってみないと分からないわ、と思い

私、やりました。
 

通常2分ゆでるところを1分で上げて、かなり硬めです。
 

結果、家族はドン引き。

なんで、そうめんゆでるのを失敗するン?といういや~な空気が

奥薗家の食卓を覆いました。
 

硬めにゆでたそうめんは

なんか、変な粉っぽさも残り、まったくおいしくありません。
 

ということで、私の個人的結論です。
 

そうめんは、しっかりゆでたほうがいい。

湯で足りないよりは、ゆですぎのほうがおいしく

チャンプルーにする場合は、わざわざゆでたてである必要はなく

むしろ、大量にゆでて、食べ残したそうめんで作るほうがモチモチ感はアップする。
 

ちなみに、ゆでて余ったそうめんは冷蔵庫に入れておくと、だんごになってしまいますが

炒めるときにさっと水をかけると、上手にほぐれます。
 

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「日めくりレシピ」

昨日は「シマナーとベーコンのそうめんチャンプルー」を紹介しました。
 

シマナーは沖縄野菜の島菜

小松菜や、青梗菜でも代用できますよ。
 

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