でいりいおくじょのBLOG

2013.05.02

肉を食べる人は長生きする!?

最近、
肉を食べるべきか、食べないほうがいいのかという論争がおこっているそうで
肉を食べないほうがいいという方の主張を書いた本はすでに読んだので
肉を食べたほうがいいという方の本を読んでみました。
何事も、双方の意見を聞いてみないと。
「肉を食べる人は長生きする」
(柴田博著  PHP研究所)
 
著者は老人専門病院で、心臓病の研究をしながら
高齢者や老化についての研究をされている医師。
 
まえがきによると
長寿や高齢者の健康に関する書物が相次いで出版されているが
根拠のない迷信や伝説が広まることを危惧し
正しい情報を提供したいという思いからこの本を書かれていて
よって、すべての科学的根拠に基づいているそう。
 
で、肉食についての見解はというと
著者が様々な地域で百寿者(100歳以上の高齢者)の調査を行った結果
長寿者は豊かに肉を食べているという。
 
血液中のアルブミンの値というのが高齢者が必要とする栄養素の中で
最も大切な指標らしく
このアルブミンの量が少ない人ほど、
早く死亡し、寝たきりや痴呆症になると調査結果が出ていて
アルブミンの量はもちろん加齢によって、減っていくのだけれど
最近は各年代でこの数値が減っていて
その原因が、動物性のタンパク質の摂取が減っていることにあるそうなのです。
 
これに関しては、
以前家庭の医学の番組の中で同じようなテーマが扱われていたことがあって
高齢者のタンパク質不足は痴呆症のリスクをあげることから
手軽にタンパク質を摂取できる料理を紹介したことがあるのです。
 
もっと野菜を食べましょう
野菜は体にいい
というのはたしかに正しいとは思うのですが
だからといって、肉を悪者にするのはどうなのかと
実は私も思っていたので、このへんはすごく納得です。
 
その昔日本に伝わった仏教には
強い肉食禁止思想が備わっていて
仏教の力で国を統一しようとした大和朝廷は殺生禁止令を出し
その後コメが権力のを持つためのものだったことから
支配階級は肉食を卑しいもの、コメ食を尊いものという思想を人民に植えつけて
農耕に専心させるように仕向け、
そうして、1600年代からの鎖国により
肉食を忌み嫌う思想が、定着してしまう。
 
日本人の、特にある程度年齢のいった人の中に
なんとなく、肉は体に悪いんじゃないかという漠然とした感覚があるのって
長い歴史の中で脈々と受け継がれてきた価値観のようなものなんですよね。
この本を読んで、このへんもすごく納得がいきました。
 
この本によれば
日本人の食生活が大きく変換したのは1965年辺りからで
この頃、コメの摂取量が減少し、肉類と乳類の摂取量が上昇。
その変化によって、これまで増えていた脳血管疾患の死亡率が減少するのだそう。
 
おそらく、塩分の高い少しのおかずでご飯をたくさん食べるという食生活から
様々なおかずを食べるようになったということで
塩分の摂取量とかも関係しているのかもしれませんが
様々な食材を豊かに食べることで
確実に栄養状態が良くなり、それにより健康状態が良くなって、
日本の平均寿命が世界でトップクラスになっていくわけです。
 
こういうデータを見ても
少しのおかずでご飯をたくさん食べるという1960年以前の食生活より
色んな物を食べる1980年代ころの食生活のほうが
確実に体にいいということは明白。
もともと日本人は、そんなに肉を食べておらず
それで、元気に過ごしていたじゃないかという考え方もありますが
このデータは
日本人の食が豊かになった後のほうが、
実は健康状態が良くなっているということを証明しています。
 
肉を食べると長生きする
というタイトルだけ見ると
一見、肉を沢山食べろ言う内容が書かれているように見えますが
実際に書かれていることは、そういうことではなく
肉も魚もバランスよく食べたほうがいいという話なのです。
 
ある一定の食べ物や栄養素を悪者にして避けたり
ある一定の食べ物だけを大量に食べたり
という考え方に対しての警告で
色んな種類のものを食べている高齢者ほど元気で長生きしているという調査結果が
これを証明しています。
 
更にこの本は
肉を食べるとか食べないとかと、いう食のことだけではなく
いかに幸せに生きるかということが書かれていて
 
運動をして、生活機能の維持をすることと同じくらい
社会的な役割と達成感を持つ事の大切さが書かれていて、
 
誰かのために何かをしてあげたり必要とされたり
それは、報酬のある仕事だけを意味するのではなく
 
例えば、家族に料理を作ってあげるとか、孫の面倒を見るとか
お留守番をするとか話し相手になるとか
そういうこともまた、生きがいとして大切なことだと書かれています。
 
そういえば、曽野綾子さんのエッセイの中で
自分がどのような年のとり方をしたいかということについて
40代の後半から考えたと書かれていました。
自分の人生の後半について
早めに考えておいて、早すぎるということはないと、私も思っています。
 
そういう意味では
肉を食べるとか食べないとか、そういうことだけではなく
これから人生の後半をどのように過ごせばいいのかという
もっと大切なことも教えてくれる一冊です。

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