でいりいおくじょのBLOG

2017.10.18

文庫本と図書館

天声人語に文庫本に関する話が載っていて、興味深く読みました。

内容はこう。

 

文芸春秋の社長が全国図書大会で

「できれば図書館で文庫本の貸し出しをやめてほしい」

と呼びかけたそうで

出版不況が続く中

できれば文庫本くらいは自分で買ってほしいと訴えたそう。

 

でも、図書館では、文庫本は人気で

簡単には手を引けない

 

…と、まあ、そういう趣旨の話。

 

これで思い出すのが

 

もう20年以上前

私が初めての料理の本を出した時

父が私に言ったんです。

 

「本を出させてもらって、それでお金をもらうんだから

できるだけ、本は買って読むように」

 

本を出版させてもらえたということに感謝して

本を買ってもらったことにも感謝して

その恩返しとしてできることの一つは、本を買うことだと。

 

父は自分も本を出していたので

自分自身、ものすごい量の本を買っていて

私も子供の頃から、本だけは贅沢に買ってもらっていました。

 

その一方で

私自身は、子供が小さかった頃は、本当にお金がなかったので

それこそ、本当に図書館にはお世話になりました。

 

その後、少しはお金にゆとりもできたので

再び、せっせと本を買い集めるようになりました。

小説や新書みたいなのも買うけれど

やっぱり多いのは料理本。

 

ここ半年くらいで、本も整理して、ずいぶん少なくなりましたが

それでも、まだ本箱5本分くらいの料理本は持っています。

 

で、天声人語の文庫本の話題に戻ると

確かに、文庫本くらいは買ってください

という気持ちもわかるけど

本当にお金がない時、

私自身図書館で借りてきた本で、大きな楽しみや幸せを得ることができたので

図書館の文庫本の貸し出しをなくしてしまうのはさみしいなあ。

 

この問題、難しいですね。

 

それなら・・・と

自分の料理本に置き換えて、考えてみました。

 

自分で言うのもなんですが、

私の料理本、図書館では結構人気だそうなんです。

 

でも、図書館で借りずに買ってください、っていう風には

私は思わなくて

順番を待ってまで借りてもらっていると聞くと

それはそれで、とってもうれしかったりしています。

 

なんか、ええカッコしているように見えるかもしれませんが

ぜんぜんそうではなく、

 

家庭料理研究家の仕事は

家庭料理を楽しんで作る人が増えることと

子供たちが、おうちのご飯はおいしくて楽しいねって思っておとなになれるお手伝いをすること

家庭料理で、健康を維持できること。

 

要は、作ってもらってなんぼの世界なのです。

 

図書館本でも、古本でも

読んでもらって、作ってもらえるだけで、本当にうれしいけどね。

 

でも、それじゃあ、出版社も本屋さんもうれしくないし‥。

 

せいぜい、他の料理家さんの本をせっせと買います。

 

文庫本 

コメント

  1. Yu-ki より:

    先生、おはようございます。

    文藝春秋の社長さんの発言には、色々と考えさせられました。
    どちらかを立てれば、どちらかが立たず、難しい問題ですね。
    本の業界に限らず、音楽教室などでCDを生徒に聞かせるのは著作権の問題があるとかないとかも、話題になっていますね。
    こういう問題は、エンドレスですね。
    このITの時代に、こうした問題はもっと増えてくるのではないでしょうか。

    先生が本好きなのは、お父様の影響もあったのですね☺️。

    先生、今日も一日健やかにq(^-^q)。

    1. 奥薗壽子 より:

      本好きの人、料理好きな人が、増えてほしいなと思っています。

  2. takako より:

    こんにちは。
    今日のでいりぃをとても興味深く読みました。
    私も先生にはとうてい及びませんが、本が好きで図書館も大好きです。
    図書館で配架という返却された本を書架に戻すパートをしていたこともありました。
    仕事をしながら分類番号を覚え、本当に様々な本があるのを知りました。
    とても楽しい仕事でした。

    料理の本ですが、私の場合図書館で借りることも多いですが、読んでみて気に入った本はほとんど購入しています。
    料理って日々のことなので、やっぱり常に手元に置いておきたいですしね。
    でも1回読めば満足して繰り返してまで読まない小説などは、購入には至らないことがしょっちゅうです。
    作家さんには申し訳ないなあと思いつつ。

    確かに難しい問題ですよね。

    1. 奥薗壽子 より:

      本屋さんも、図書館も、本好き人間にとっては聖地です。特に図書館は、全く興味のないジャンルの本を手に取るきっかけになるし、本屋さんは本屋さんで書店の方の工夫で、遊園地みたいに楽しくなっていたりします。
      本は楽しいですね。

  3. まりマ より:

    図書館に文庫があるのに気づいたときは驚きました
    借りた本を通勤、通学で読みたい人もいるよね、と納得してました

    私は本は読みたいけど要らないので図書館派です
    料理本はいつでも見たいので買ってますよ~

    1. 奥薗壽子 より:

      私、電車で本を読んでいる人を見ると、タイトルが気になって、それとなくのぞき見したりします。こっそりね。

  4. すが より:

    いつも楽しく拝見しています。

    私は何冊か先生の料理本を持っていますが 大体図書館で借りてから 本を購入しています。

    一冊の中で 自分が作りそうな 参考になりそうな一品が どれだけあるかが重要だと思っているからです。

    大量にある本の中から 自分が良いと思えるものをゆっくり選べるので 図書館を利用しています。

    お料理以外でも 小説や 実用本も同様です。

    以前、ある作家の方が 購入者ではなく 図書館で読んでいる人は 読者ではない と書かれたのを読んで
    ショックを受けました。 今もベストセラーをたくさん書かれていますが もうその方の作品は読めていません。

    今日は、先生の 読んでもらって、作ってもらえるだけで、本当にうれしいけどね という言葉が嬉しくて 初めてですがメールしました。

    1. 奥薗壽子 より:

      メール、ありがとうございました。
      また、でいりおくじょのを読んでくださっていることも、とてもうれしいです、ありがとうございます。
      これをきっかけに、また、書き込みをしてくださったら、それもすごくうれしいです。

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