でいりいおくじょのBLOG

2019.02.13

テレビドラマ「眩(くらら)」

見たかったドラマが、オンデマンドでやっていて

ついつい見てしまいました。

 

「眩(くらら)」

 

実際に放送されたのは、もうずいぶん前で

その時は忙しくて見ることができず、残念だなあと思っていたのですが

たまたまオンデマンドでやっていることを知って、ラッキーでした。

 

主人公は、葛飾北斎の娘、お栄さん

原作は、朝井まかてさんです。

 

本の方は発売すぐに読んで

もともと葛飾北斎が大好きだったのが

お栄さんも大好きになって

その後、北斎美術館にも足を運ぶほど、どっぷりハマりました。

 

ドラマ自体は良くまとまっていて面白かったのですが

やっぱり、あれだけ長い原作を1時間のドラマにするというのは

本を読んだ人間からすると、ちょっと物足りなくはなってしまいますね。

 

ただ、本を読んだ時には気づかなくて、ドラマを見て嗚呼と思ったことがあって

 

北斎というのは、まぎれもなく天才なんだけれど

どちらかというと、デザインとか、モノの造形の方の人で

お栄さんは、父親の書いた下絵に、色を付けるのが仕事だから

色の人なんですね。

ものすごく色に対して執着がある。

 

そのお栄さんが

“色は光でできているのだ”

っていうシーンがあるんだけれど

ここ、すごいなあって思ったんです。

 

私、そんなに絵の世界に詳しいわけではないですが

西洋画は、いかに光を描くかっていうことが、芸術の一つのテーマですが

江戸時代の日本画で、そんなに光にこだわり、

光を描こうとした方を私あまり知らない気がして

 

そういう意味で、お栄さんもやっぱり天才だわ、って思ったんです。

 

全然話は違うんだけれど

実は、日めくりの料理写真を撮っていて

光の当たり方が、全然うまくいかないことがあって

光がうまく調整できないと、料理が全く美味しそうに見えないの。

 

でも、どうやったら、いい感じに光を当てられるのかが

力不足、経験不足で、全くわからない。

 

ここの所、特にスランプで

全く光をつかめないのです。

 

そんなときに

色は光でできているというお栄さんの言葉を聞いて

はっと思ったんです。

 

光は目の前にあるのに

それを無視して、自分でもっといい光を当てようとしていたんだと

 

料理でも、光でも、人の手は、あくまで足りないものを補うだけでいいのに

すべて支配して、自分が全部作り出そうしてしまう

そして、それで大抵失敗する。

 

そのことに、気づきました。

 

そこで、光をどんどん減らしていったら

料理が持っている、もともとのおいしそうな色が見え始めた。

 

光を当てすぎると、逆に色が消える。

 

お栄さんのおかげで、大事なことを思い出すことができ

ようやくスランプから脱出できたかも・・・。

 

いずれにして、

葛飾北斎のように、がむしゃらに仕事をして

死ぬまで現役で、

死ぬまでもっと上手になりたいと思って生きられたら幸せだなと思う。

 

やっぱり、葛飾北斎大好き

お栄さんも大好きです。

 

 

IMG_0386

コメント

  1. ゆり より:

    奥薗先生

    今回の日記を読ませていただき、
    大好きな詩人・画家である星野富弘さんの詩が浮かびました。↓↓
    「ブラインドのすき間からさし込む朝の光の中で
    二つ目のつぼみが六つに割れた 静かに反り
    返ってゆく花びらの神秘な光景を見ていたら 
    この花を描いてやろう などと思っていたことを
    高慢に感じた『花に描かせもらおう』と思った」

    「光を当てすぎると色が消える」……
    何となくわかるような気がします。以前絵を習っていた時、静物画を沢山描いてたんですが、ハイライト(光を浴びてる部分を際立たせるための白)を入れるのと同じかそれ以上に、影をつけることが大事、と学びました。その方が花は生き生きするし果実は美味しそうになるのです。色そのものも光なので尚更、影をつけることが大切だ….と。

    北斎の話題で陰影(→日本画にはなかった明治以降の西洋画の影響)の話、理解がズレていましたら申し訳ありませんが、以上のようなことが心に浮かびました。

    日めくりレシピより大根の味噌汁、大根をせん切りにするだけでアラ不思議、むちゃくちゃ美味しかったです。
    ありがとうございました。

    1. 奥薗壽子 より:

      この詩、すごくいいですね。すごくよくわかる~。
      そうなんですよ、上手い撮ってやろうと思った瞬間、もうすべてがダメになってしまうんです。
      目で見て、ああ美味しそうって思った、そのままでいいのに、料理を支配しようとしてダメにする。

      料理のレシピでもそうですね
      素直に、食材の美味しさを引き出すだけでいいのに、自分がおいしくしてやると思った瞬間にダメになる。

      食材に、料理に寄り添うだけでいいのに、それが難しいですね。
      自分の傲慢さや、鼻持ちならない自尊心

      料理させてもらっているという謙虚な気持ちにになりたいと思いながら、いつもいつも自分の煩悩と葛藤しています。

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