でいりいおくじょのBLOG

2025.12.20

読書日記「あなたが言わなかったこと」

若松先生の新刊が出たので

さっそく読んでみました。

 

「あなたが言わなかったこと」(若松英輔著 亜紀書房)

 

 

ある出来事があって

その時は、よくわからずにやり過ごしてしまっても

ずっと後になって

 

その時分からなかったことが、ありありと見えるようになったり

違う意味を持った出来事として立ち現れたり

 

また、ある人が言った言葉が

何年もたってから、やっと理解できたりとか

 

そう事ってあります。

 

そういう話が書かれたエッセイ集です。

 

この本の中で

一番深く心に響いたことは

 

運命というのは

外から入ってくるものではなく

人間の内部から出てくるものだ

 

というリルケの言葉でした。

 

最近、運命について考えることが多く

この一文を読んだ時は

ああ~~、そうか~~~って思った。

 

悲しい事や、苦しいことが起こると

自分は、なんて悲しく不幸な運命を生きているのか

と思いがちだけれど

そうじゃない。

 

悲しくて苦しい出来事に出会った事で

何を感じ、何を考え、どう行動したのか

それこそが運命だと言っているのです。

 

その時、人間として大事なことを学ばせてもらっているのだと。

 

たぶん、それはすぐにわかる事ではなく

苦しい状況を抜け出して、何年もたってから

はっと気づいたりすることもある。

 

その時の、その出来事が違う風に見えてくる

 

それを気付けるかどうか

言わなかったコトバを聞くことができるかどうか

 

そこが大事のところ。

 

自分のことを思い返してみると

 

確かに

あれのおかげで、気づかせてもらったという事はある

 

あの苦しい、つらい経験がなかったら

きっと、何か大切なことを見過ごしてしまったんじゃないか

って思うようなこと。

 

悲しい事、苦しいことを

そんな風に考えらるようになったら

それは、声にならない声を、聞いたってことなんじゃないかな。

 

私も、半世紀以上生きていると

そういうことが、いろいろ思い出されます

 

あの時は、あんなに悲しくて、苦しかったことが

でも、あれがなかったら

こういう風に頑張れなかったかも…

という事も、少なからずある。

 

今、ここで、こうして生きている事

あの時の、苦しかったことの延長線上にある

ここが運命なんだな。

 

今の自分、それが運命なんだ。

 

そのために、学ぶことも大事

そして、学んだことを、一つ一つ手放していく事も大事

 

そんなことも書かれていて

なるほどと思った

 

学んで、手放さなければ

そこに執着が生まれ

 

何かに執着すれば

心は閉じる。

澄んだ眼で見ることができなくなるから

言わなかったことを聞くことができなくなる

 

学び続けることと同時に

手放し続けることが大事。

 

本当に学んだことだけが

手放すことができるというのも

心に残りました。

 

この本

これ以外にも、いろんなことを考えさせてもらえる一冊です。

おすすめです。

 

 

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