でいりいおくじょのBLOG

2020.05.22

読書日記「白い国籍のスパイ」

開高健さん絶賛おすすめのスパイ小説。

スパイ小説なのに、料理レシピ付き。

 

「白い国籍のスパイ」(上)(下)(J.M.ジンメル著 中西和雄訳 祥伝社ノン・ポシェット)

 

生まれて初めてスパイ小説に挑戦しました。

しかも、翻訳もの。

私、カタカタの名前が、とにかく苦手なんですが

苦手なものを克服するつもりで、挑戦してみました。

 

時は、第2次世界大戦前のヨーロッパ。

善良な一人の男(料理好きで、かなりの腕前)が、

ひょんなことから、スパイになり

イギリス、フランス、ドイツ、アメリカのスパイとして

世界を駆けまわるという壮大な話です。

 

それらの国がお互いの腹の探り合いをするのですが

もう途中からは、私の頭がついていけず

登場事物のだれがどこの国の人なのかがわかんなくなってきて

敵も味方も入り乱れ

しかも、そんな中で

主人公の男性は、国籍も名前もどんどん変わり

もう、途中から誰が誰なのか、頭こんがらがってわけわかんなくなりました。

 

ただ、ものすごく展開が早く

どんどんストーリが進んでいくので

わけわかんないけど、わからないなりに、なんかひやひやしたり手に汗握ったりして

わからないなりに面白かったです。

 

ただ、

この小説、実はええーッというような仕掛けがあって

 

料理の話がたくさん出てくるんです。

主人公が料理上手なんで、すぐに料理を作ってふるまうの。

 

絶体絶命っていうところでも

とりあえず食事をしましょう、みたいなことになって

おいしい料理を作って食べているうちに

気が付けば、窮地を脱しているんです。

 

しかも、その時に作った料理のレシピと献立が

いちいち詳しく書いてある。

 

こんなんあり?

スパイ小説の途中で、レシピページがあるんです。

 

途中から、どこの国のスパイなのかというよりも

どんな料理を作るのかという事の方が気になってくる。

 

最近、

開高健さんとか、玉村豊男さんとか、米原万里さんとか

を読んでいたおかげで

食材のこととか、ヨーロッパの料理について

ちょっとうんちくが増えていたおかげで

ここに出てくる料理は、かなり楽しめました、

 

例えば、サラダ

フランスでサラダといえばレタスのことだそうで

それもフランス人は、柔らかいレタスを好むという事を玉村さんの著書に書いてあったんだけれど

 

確かにこの本で紹介されているサラダは

レタスの芯の固い部分を取って柔らかい葉っぱの身を使って作られている。

そういう事を、ああ~って思いながら読むとすごくおもしろい。

 

じゃが芋のない、ドイツ料理とロシア料理はないと米原万里さんの本に書いてあった通り

ドイツ人である主人公の作る料理は

やたら、じゃが芋が出てくる。

 

更に、ギリシャローマの時代からキャベツというのは、ヨーロッパでもっともよく食べられている野菜だそうで

それを思ってレシピを見ると、やっぱりキャベツが使われている頻度が

めちゃめちゃ高い。

 

それにしても、

全ての料理が、前菜、メイン、デザートというようなきちんとしたコースになっていて

必ずデザートまである。

 

状況は、絶体絶命だったりするんですよ。

なのに、デザートまでおいしく食べちゃうの。

かの国の皆様は、デザートを食べずに食事を終わらせるという事はないんですね。

 

小説のストーリーとは全然関係ないんだけれど

そこになんかへえ~~~~って思った。

 

これが日本のスパイだったら

きっと、デザートではなく

〆に、お茶漬けとか、稲庭うどんとか

そういうのが出てくるんだろうか、

等と考えたりしたんだけれど

 

最後はやっぱり、アイスクリームとか食べるからいいんであって

豚骨ラーメンとかだったら、

話の展開が難しそうだなあ。

 

料理好きな人は、読めば楽しいと思います

一昔前の、料理の作り方なんか

興味のある方には、おすすめです。

 

 

 

 

2020年5月21日スパイ

コメント

  1. マカロン より:

    これですね、スパイ小説とおっしゃってたのは。レシピがついてるなんて最高です。
    Kindleにはまだなってなかったので、日本に帰省するとき、本屋さん行ってみようと思います。あらすじも探してみましたが、私好みの第二次世界大戦中の話でWOWです。

    フランス人夫も食事の最後はデザートです。DNAなんでしょうかねぇ。
    原作はオーストリア人が書いてるんですね。
    オーストリア、旅行で行きたい国のひとつです。

    1. 奥薗壽子 より:

      主人公のトーマス・リーヴェン〈仮名〉というドイツ人が経験した話を、作者が聞き書きしたという物語なんです。実話と書いてあります。登場人物の中には、実在の人物の名前もあるようです(私は詳しくないのでよくわかりませんが)。第二次大戦中の話ですが、この主人公がとてもいい人で、頭が良くて、ハンサムで、おまけに優しくて、人を殺さないし、苦しめたりもせず、知恵を絞って困難を乗り越えていくんです。読後感もいいです。
      あいにくkindleにはなっていないので、もし手に入ったら、是非是非。おすすめです。

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