家庭料理研究家奥薗壽子オフィシャルサイト
新宿の王城ビルで開催中の
斎藤陽道写真展「神話7年目-人間が始まる」
を見てきました。
実は、斎藤陽道さんって全く知らなくって
この写真展のことも
一ヶ月前、たまたま見たXで知っただけで
でも、Xの小さな写真を見ただけで
何か、ものすごく心惹かれるものがあって
これは、何が何でも、絶対見に行きたい
って思ったんです。
どれくらい心動かされたかというと
すぐにカレンダーに書き込み
手帳に書き込み
絶対忘れないように、マークした
そのくらい、見て見たいと思ったのでした。
行ってみて、王城ビルが、まず強烈でした
すごいなあ、この建物。
そして、会場の中に入ってみると
プリントアウトされた写真が、
机やいすの上に、無造作に置いてあり、
見る人はそれを適当に持ち上げ、見やすい場所に持って行って、
自由に手に取って見ることができるの。
写っているのは、
ゴツゴツした岩肌や、うっそうと茂った草むらや
あるいは、静かに揺れる水面、地平線に続く壮大な海
そこに、小さな命、女性や子供
どこか遠い国のようでもあり、懐かしい場所のようでもある
うす暗い場所で見るもよし、電気スタンドのあかりの光の下で見るもよし
あるいは、自然光の入っている窓際の所までもっていってみるもよし
見る場所によって、そこにある世界が違う表情になって浮かび上がる。
壮大で圧倒的な世界は命に満ち溢れ
そのなかで人間は、なんて小さな存在なのか。
そうか、人間がこれを作ったのではなく
この光の中で生まれたのだ。
この頼りなくて、小さな存在が
けれど、なんと尊いのか。
そんなことを思いました。
なんとも神秘的な世界
この、今まで経験したことのない、この気持ちは何なんだろう
それを、もっと感じようとしていて
ハッと気づいた
この写真、音がない
これほど、饒舌に語っているのに、音が全く聞こえないのです。
森林の中の、木々のざわめきの音や
風が吹き抜ける気配はあるのに、木々が揺れるのは感じるのに
全く音が聞こえてこない。
静寂とは違うんですよ
水が流れる気配や、水面のキラキラした動き
そこに確かに存在しているのに
音が全くしない
けれど、だからと言って、静寂で、無音なのではなく
音の代わりに、色や光や形がが、
なんとも豊かな音色を響かせていて
時に静かに、時に激しく、時にものすごい迫力で
ものすごい饒舌さで迫ってくるのです。
そうか、この写真展のタイトルは神話
はじめに光あれ、なのか
光があって、色ができて、それから形ができて、最後に音なんだ
音ができる前に
光や色で会話をしているんだ
そう思ってみると、
一枚一枚の写真の中の、光や色が、更に饒舌に語り始めました
光や、色や、岩や、植物の命や、動物の命
それらがすべて音になる
すべてが語り掛けてくる
そういった者たちの語りかけてくることばの、なんと豊かな事
これほど饒舌に語っているのに
本当はそうなのに
私に聞こえていなかっただけなのだ。
すごいなあ、
こんな写真、始めて見たなあ。
そう思って、全部見終わって
かなり深いところで感動して
ポストカードがあれば買いたいなあと思って、
ショップによって
そこで、びっくりした。
斎藤陽道さんは、ろう者だった。
斎藤さんの書かれた本が売られていて、それで知った。
一瞬ぽかんとして
それから、もう一度写真を見た
全く違う、世界が見えた
これが、斎藤さんの見ている世界なのだと思った。
そうか、斎藤さんは
光や、色や、形から、ことばを聴ける人なのだ
そうか、そういう事か。
何かすごく、スーッと入ってくるものがある
心に伝わったことを
ことばにしたいんだけれど、言ったら壊れてしまうから
ことばにはできない
なんか、自分の中の深いところが、ただただ震えている。
今、これを書きながら、思い出しても
なんか、涙が出てくる
言葉にできないから、涙が出てくる。
いろんなことを思い
いろんなものに包まれているの感じ
奥の方が、ただ震えて、あったかい。
是非是非、見に行ってほしいです。
おすすめです。
王城ビル(東京都新宿区歌舞伎町1-13-2)
12:00~20:00
3月30日までです。
好きな一枚を選ぶとしたら
私はこれかなと思った
右側の小さな影は、子供です
なんか、このとぼけた感じが、なんとも言えずいい。
テイストがちょっと違う一枚
これ、なんかすごく好きだった。
黄色い花の向こうに、子供が映っていて
おじそう様か、石でできた何かを触っている
左から誰かの手
優しい時間の流れがしずかに続いていて
そこに、自分もまた連なっているような感じ。
思わずにっこりしてしまう‥。
コメント
玉城ビル凄い建物ですね😲
絵から音が聴こえないと感じたら、斎藤陽道さんがろう者だったと分かる😲深い所まで斎藤さんの写真を奥薗姐さんは感じとれたんですね😲
写真は光と影も写っている人や物も、ハッキリとした写真だなぁという印象をボクは感じました📸音が無いと言うのは感じられなかったけれど、言われてみれば、聴覚が無い分視覚が研ぎ澄まされたような写真だなとボクも感じる事ができました📸
それでは失礼致します🙇♂️足立区一のお調子者f@
コメント、ありがとうございます。
写真を写真で撮るというのは、正直よくないですね。
たぶん、いろんなものが伝わりませんね、すいません。
でも、写真って、技術もあるんだろうけれど、やっぱり、その人が何を見ているかってところが
如実に表れるんですよね。いや、そういう写真が、いい写真なんだと思います。
観音菩薩は「音を観る」と書きますよね。音を聴くとは書かない。そんなことを想っています。弟が子供の時に中耳炎をこじらせて当時最新の技術を勉強してきたというドイツ帰りのお医者さんに鼓膜の再生手術をしてもらったことなど、思い出します。今後の活躍が楽しみな写真家さんですね。
観音!!確かに、音を見るですね。確かに確かに。めちゃ納得しました。
ちなみに斎藤さんは、私が存じ上げなかっただけで
かなりの実力のある方みたいです。
先生…すごすぎます!写真だけを見て感じ取れることが…。先生はとても素直で純粋な心と目をお持ちなんだなと思いました。最後のお写真いいな〜。心が温まります。
いやいや、写真が本当に素晴らしいのだと思います。
本当に、いい写真でした。