でいりいおくじょのBLOG

2018.01.17

読書日記「君たちはどう生きるのか」

去年からずーっと話題になっていて

気にはなっていたものの、子供向けに書かれた本だし

しかも漫画と小説とが同時に発売になって

マンガを読む方が手っ取り早いけど、やっぱりこういうのは活字で読まないと・・

と、うだうだ考えている間に年が明けました。

 

「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎著 マガジンハウス)

 

先日、クローズアップ現代で、この本が取り上げられたのを見て

もうこれは、迷っている場合じゃない、とにかく読まなくっちゃと思ったのでした。

 

物語は、コぺル君と呼ばれる中学生の少年の、家や学校での出来事を通して

感じたり、考えたりしたことがストーリーの根幹で

それに対して、おじさんがコぺル君に伝えたいことをメモに書くという構成になっています。

 

コぺル君のクラスには、すごくお金持ちの子もいれば、貧しくて家の手伝いをしながら学校に来ている子もいます。

その子たちは、いったい何が違うのか。

人の価値を決めるものはいったい何なのか

というところから物語は始まります。

 

終盤、ある事件が起きてコぺル君は友達を裏切ってしまうことになります。

後悔するもののどうすればいいのかわかりません。

後悔し、反省もし、なんとか気持ちを伝えたいと思うのだけれど、悩むばかり

最終的に、コぺル君と友人たちの取った行動とは…。

 

こんな分かりやすいストーリーなんですけど

読み終わった後には

人の価値が何で決まるのか、とか

人は生きていくうえで、利己的になって間違いを起こすこともあるけれど

そのあと、どう生きて、そこから何を学ぶのか、が大事、とか

大人が読んでも、自分のこれまでのことを振り返り、考え、もう一度どう生きるかを考え直させてくれる本でした。

 

この本の冒頭にコペルニクスの天動説の話が出てくるんです(コペルニクスがコぺル君のあだ名の由来)

宇宙が回っているのか、地球が回っているのか。

 

子供の頃は誰でも自分を中心に物事を考える天動説的な考え方をしますが

大人になるにつれて、広い世界というものを先に考えるようになる地動説へと変わる。

おじさんのメモは、コぺル君に、自分の取り巻く外側の世界から自分を見ることの大切さを教えてくれます。

 

最初は、子供向けの話だと思って、軽い気持ちで読み始めたのですが

いやいや、おじさんのメモに書かれていることは、本当に深いです。

 

地球が宇宙の中心で、地球を中心にして宇宙が動いているわけじゃないってことは知っているのに

時として、地球を中心に空が動いているかのような錯覚に陥ることがあります

それと同じように、世の中は自分を中心に動いているわけじゃないことくらい、わかっているはずなのに

得てして、自分を中心に、自分の損得や自分の都合を優先して動いてしまいがちです。

 

それがすべて悪いというわけではないのでしょうが

常に、物事を俯瞰で見る視点を持っていることは大切ですね。

 

この本を読みながら

いろんなことを思い出しました。

今までにやらかしてしまった、あんなこと、こんなこと

 

今では謝ることも、やり直すこともできないこともたくさんあり

後悔し続けていることもあります。

 

でも、

失敗することもまた無駄ではないですね。

後悔し続けていることや、謝りたいと思い続けていることから、何かを学び続けているならば、

その失敗にも後悔にも意味があるのだとも思えました。

その後悔や償いの気持ちを持って、自分の生き方を見つめ直し、やり直すことで

直接何かを使えられなかったとしても償いになるはず。

 

どう生きるか

それは、子供だけではなく、大人にも大切な問いかけです。

私自身、この先も、どう生きるかを自分に問い続けるんだろうなあと思います。

 

今、毎日、新しい本を作るための準備をしているのですが

私という存在はとっても小さくて、至らないことだらけで

私が提案できることなんて、本当に些細なことですが

料理を通して、伝えたいことはたくさんあって

それこそが私の生き様なのだと思っています。

まだまだ頑張らないと、です。

 

この本は、ベストセラーだけあって、さすがに素晴らしい本でした。

本当に、おすすめです。

 

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コメント

  1. Yu-ki より:

    先生、おはようございます。

    20数年前、小学校高学年生だった私たちに、担任の先生が、吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』(岩波文庫)を紹介してくださり、文庫本を買いました。
    難しかったです。
    その先生は、私に関わった多くの先生方の中で、今でも親交があり私が一番慕っている方です。
    尊敬しています。
    その本を今も大切に持っています。
    昨年、漫画化されて大変話題になりましたね。
    本屋さんでチラッと立ち読みしただけで、迷いましたが結局買いませんでした。
    やっぱり買ってみようかな?。
    これをきっかけに。
    奥薗先生も、よんで色々と思われたのですね。
    私も、あらためて『君たちはどう生きるか』を読んで、“私はどう生きるか”自分に問うてみようと思います。
    答えを出すのではなく、素直な気持ちで。

    先生、今日も一日健やかにq(^-^q)。

    1. 奥薗壽子 より:

      小学生の時に出会っておられたというのは、本当に幸せですし、その先生は、本当に素晴らしい先生ですね。
      是非是非、読んでみてください。本当におすすめです。
      たぶん、小学生には難しかったと思いますが、今なら読めると思いますよ。
      本との出会いも、タイミングがあると思います。

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