でいりいおくじょのBLOG

2020.04.09

読書日記「海苔と卵と朝めし」

「男はつらいよ」を見ていたら

「寺内貫太郎一家」のドタバタを思い出し

寺内貫太郎一家の、樹木希林さんとか西城秀樹さんとかを懐かしく思い出していたら

久しぶりに向田邦子さんのエッセイが読みたくなりました。

 

「海苔と卵と朝めし」(向田邦子著  河出書房新社)

 

この本は、向田さんが、いろんな本で書かれた食に関するエッセイを

一冊にまとめた本です。

 

副題として“食いしん坊エッセイ傑作選”と書かれています。

 

食いしん坊で有名だった向田さんですから

食べ物について書かれたものは、とにかく面白くて、どれもおいしそうで

しかも、ほろっとしたり、あったかい余韻が残る話だったり。

さすがです。

 

向田邦子さんの生まれが1929年なので

全体的に、私の知っている昭和より一世代前になるのですが

それでも、なんといえない懐かしさを感じるから不思議です。

 

特にいいなあと思ったのは朝ごはんの話。

 

かまどの火を起こしてご飯を炊いて、鰹節を削る。

昨夜からつけておいた漬物を取り出して切る。

表を通る納豆屋を呼び止めて買う。

 

朝の空気感や、においや温度が、そのまま伝わってくるようで

ああ、こういう風に朝が始まっていた頃があったんだなあって思う。

台所の湯気の気配とか、ご飯の炊ける匂いが、ページから立ち上り

心の中が、あったかくなります。

 

お母さんがご飯の準備をしている横で

おばあちゃんが海苔をあぶって、パリパリと八等分する。

(ここを読むだけで、海苔のいい香りがぷーんとしてくる…)

 

大人は一人8枚

子供には、それをさらに半分に切ったものが一人8枚

同じ枚数だけれど、子供は大きさが小さいから、向田さんは不満なの。

(ワカル、ワカル)

 

で、一膳目から海苔でご飯を食べてはいけない

一膳目は味噌汁で食べて

2膳目のごはんで初めて海苔を食べることが許される

それが向田家のルールだそうで

それも向田さんは不満だったんだけれど

それは、お父さんが、子供はたくさんご飯を食べて大きくなるように

という、やさしい気持ちなんです。

 

ところが、ある時

弟君が、上あごに海苔をくっつけて、大騒ぎするという事件が起こって

お父さんが激怒、

「子供には海苔を食べさせるな!!」

 

以来、子供は海苔なしで、生卵の朝ごはんに代わる。

ああ~~~~・・・。

 

そんな家族の風景が生き生きと描かれていて

それはまさに、寺内貫太郎一家の食事風景と重なりました。

 

因みに、私は関西人なので

こういう朝ごはんの風景も、うちとは違っています

 

うちは夜にご飯を炊くのが普通で

(多分、関西人は、夜にご飯を炊く方が一般的だと思う)

私の子供の頃は電子レンジがなかったから

冷ご飯を、お茶漬けにしたり、おかゆにしたりして食べていました。

(ほかの家は、違っていたかもしれません)

 

京都なんで、納豆売りはいなかったし

朝に納豆を食べる習慣は、少なくともうちの家はなかった。

(今は納豆なしでは生きていけないくらい大好きなのにね)

朝ごはんがパンという事も、よくありました

(京都人はパン好き)

 

ちっちゃなことだけれど

こういう食べ物エッセイを読むと

人の家のご飯をのぞき見するような楽しさがあって

すごーくワクワクしてしまう私です。

 

いずれにしても、向田さんのエッセイは

文章がうまいので、とにかく面白く

出てくる食べ物がどれもおいしそう。

 

美味しいもの好きな人には、おすすめの本です。

2020年4月8日本

コメント

  1. 澪つくし より:

    へー、向田さんの本は、娘がファンだったので、殆ど読まされた(学校に行く前に課題 として)
    と思いましたが、読んでない本です。よくエッセイの中には料理出てきてましたよね。
    ほんとに、ドラマといえば、必ず食卓を囲むシーン 私はそこをみるのも好き。
    食事をすると、話しがはずみます
    えー、京都は夜はお茶漬けでと、夕食ですよの合図をしてお人払いは、聞いたけど、
    朝、ご飯炊かないのですか 以外?美味しいものを食べてる雰囲気なのになー
    私は、千葉ですが、ご飯は朝 炊くものでしたよ
    それも祖母がかまどで炊いてくれたご飯を お弁当にしていったなー。夜は忘れてしまったけど、
    お鉢の冷や飯 蒸し器で蒸していたのかなー 食いしん坊だから料理との思い出はつきない。おかずは質素そのものでも。
    都会に出たら、老舗の料理を食べるために働いてました 昭和20年代はそんな感じ

    寅さんに今、恋したようでなにより。40作ありますから、恋も長〜く楽しんで下さい。私”昨年お帰り寅さん“
    観てきました。それに伴いNHKで幼い頃の寅さんをやっていて良かったから…。光男くんが寅さん忍んで
    うまく重なって、すぐ中に入れました(合成でどうかなーと)そして、放浪の旅した意味も私なりに 腑に落ちました
    山田洋次監督の虎さんへのオマージュ感じられました よ❤️

    お仕事予定キャンセルで、いろいろ大変かとお察ししますが、相変わらずの読書とお料理のアップ
    ありがとうございます。こちらはすごくたすかっています。

    お昼にサバ缶のケチャップスパ 作ってみました。トマトが少なかったかな?って味でした70点
    100点は春雨鍋 白菜とネギともも肉だけで、こんな美味しいスープが Buono! 違うかW シメジも入れた

    1. 奥薗壽子 より:

      京都の”ぶぶ漬け”は、都市伝説でして
      私は、京都人ですけど、そんなことをしたこともないし、そういうことをされたこともないです。
      本当に、そういう習慣はありません。
      いまだに、まことしやかに信じられているので不思議です。
      また、ご飯炊くタイミングは、関東は朝、関西は夜というのは、関西と関東の違いでよく言われることなんですが
      私の子供の頃は、確かに夜にご飯を炊いていて、朝からご飯を炊くという事は、子供の頃にはなかったし、近所の人たちも夜にご飯を炊いていたと思います。
      そういうことを思い出すのも、なんかいいですね。
      サバ缶スパゲテイーだめでしたか・・・。ツイッターでは好評だったのですが…。口に合わなくて残念…。
      しっかり水分を飛ばしてからケチャップを入れるのがコツで
      そぼろにするときの水分の飛ばし方が足りないと、水っぽくなるかもしれません。

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