でいりいおくじょのBLOG

2020.05.01

読書日記「食の王様」

肉体の飢餓は甘さを求め、

精神の飢餓は酒を求める・・・のだそう。

 

「食の王様」(開高健著 ハルキ文庫)

 

昨日書いた「最後の晩餐」は

開高健さんにしては、かなりシビアで重いテーマのものもが多く

もっと快楽的な文章のエッセイも読みたくなって

手に取ったのがこの本です。

 

この本も、開高健さんがあちこちで書かれたものを

再編集されたもので

最初の1/3ほどは。「最後の晩餐」の中の文章とダブっています。

 

けれどこの本の中で半分ほどを占めている

酒について書かれた文章

これが、面白くて、秀逸で、

これぞ”ザ・開高健!!“って感じのエッセイ。

 

面白かった~~~~。

 

もともと小説家になられる前

いろんな仕事をされてはいるのですが

芥川賞を取られたときは

寿屋という酒造メーカーで

宣伝文やら、広告文やら、新聞、雑誌にのせるための文章やら

とにかく、何でもかんでも書いておられ

そのために、いろんな酒も飲み

飲んでもいない酒のことも、さも飲んだかのように書き

とにかく、飲みながら書いておられるのか

しらふで書いておらえるのか(多分の煮ながら書いておられるんだろうなあ)

酒についての文章は、言葉がめちゃめちゃ滑らかで

マジックで、口からバンコクの旗を出すのがあるけれど

あんな感じで、あとからあとから、するすると言葉がどんどん分け出ている感じです。

読んでいても、どんどん引き込まれていく。

 

でも、仕事のために会社の金で飲んだ酒はちっともおいしくないそうで

プライベートでは、怪しいところで、安くて怪しい酒をガンガン飲みまくる毎日。

 

仕事でも飲んで、プライベートでも飲んで

つぶれてめちゃくちゃになって

へろへろ、ぼろぼろになって書きまくる。

 

めちゃくちゃですが、濃い人生です。

 

それにしても、好奇心と探求心が強い

それもすごいです。

でも、そこから、一歩も二歩も進んで実行できる人は、そういないと思う。

 

中には

それ・・・・飲むの?

それ・・・・食べるの?

っていうようなものがいっぱい出てくる。

 

わけのわからない怪しい場所の、わけのわかんない原料でつくったどぶろくみたいなやつとか

ネズミの胎児を漬け込んだお酒とか

(お酒を飲んだ後、その胎児も食べてる…)

 

もう、わけわからん。

 

で、酒飲みだから、甘いものが苦手なのかと思いきや

渓流釣りに行って、大自然の中を歩いて、体力を使った後は

みつ豆がいいそうで

そういう場所では、酒なんかちっとも飲みたくなくなって、ひたすら川で冷やしたみつ豆を召し上がる。

 

それも、外国製のミックスフルーツの缶詰みたいのを食べたら

全然おいしくなくて

やっぱ、みつ豆が一番おいしいのだそう。

 

そこで、件の名言

肉体の飢餓は甘みを求め

精神の飢餓は酒を求める

となる。

 

因みに下戸の私は

肉体の飢餓は炭水化物を求め

精神の飢餓は甘みを求める

 

・・・・かな。

 

とにかく、開高健の世界炸裂の一冊です。

「最後の晩餐」より、かなり軽く読めるので

こちらの方から読むのがおすすめ。

 

2020年4月30日食の王様1

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