でいりいおくじょのBLOG

2020.11.01

読書日記「罪の声」

昨日公開された映画の原作本

週刊文春ミステリベスト10の第一位、本屋大賞第3位の本

見てから読むか、読んでから見るか、迷うところですが

私は読んでから見る派です。

 

「罪の声」(塩田武士著 講談社)

 

1984年に起こった「グリコ森永事件」をベースにしたストーリです

 

テーラーの曽根俊也は、

ある日、亡き父の遺品の中から黒革のノートとカセットテープを発見する。

 

そのカセットテープを再生してみると

不可解な子供の声が入っていた。

 

それは、製菓会社「ギンガ」の社長誘拐事件の時に、犯人が警察との接触に使ったものだった。

 

これは、ギンガの社長誘拐を発端に、

複数の製菓・食品メーカーを恐喝し、

青酸カリ入りのお菓子をバラまいた凶悪な事件。

 

なぜこれが、ここにあるのか

そして、それは紛れもなく自分の声だった。

 

同じ頃

大日新聞社では年末企画として、昭和・平成の未解決事件の特集をやることになり

阿久津は、「ギンガ」事件を再度調べなおし

新たな事実をつかんでくるように命じられる。

 

テーラーの俊也と、新聞記者の阿久津

立場の違う二人が、それぞれにこの事件について調べ始める。

 

それぞれが、少しずつ過去の事実のかけらをつかんでいくにつれ

少しずつ、いろんなことがつながっていくのだけれど

 

この2人が、なかなか出会わないのですよ。

なので、なかなか情報が共有できなくて、

事実がわかりそうで分からない‥。

 

それにしても、グリコ森永事件は大きな事件でしたが

世の中の事件に疎い私は、詳しいことを、ほとんど知らなかったので

あらためて、ああ、こういう事件だったのか~と思って

(というか、フィクションもかなり入っているはずですが)

最後まで、興味深く読みました。

 

心が痛むところもかなりありました。

 

未解決の事件は

犯人が法律によってさばかれていないというだけの話ではなく

その陰で、ずーっとその事件を引きづったまま生きている人がいるという事で

 

犯人の家族や、

犯人にかかわって人たちは

心に傷を負ったまま、それをどうすることもできずに生きてきた可能性もあるという事。

 

未解決事件の追跡調査は

事件をきちんと終わらせることでもあり

事件によって未来まで奪われてしまった人たちの人生を

一度きちんとリセットさせてあげることでもある。

 

過去のためではなく、未来のためだといった

阿久津の言葉が印象的でした。

 

物語のテーマとしては、とても興味深いのですが

正直、文章はちょっと読みにくいです。

登場人物が多く、メモを取りながら読まないと

この人誰だっけ?というようなことが多々おこります。

 

そういう意味では、先に映画で見たほうがいいかもと思いました。

監督の土井裕泰さん(「ビリギャル」良かった~)

脚本の野木亜希子さん(「逃げ恥」「アンナチュラル」「MIU」全部よかった~)

なので、めちゃめちゃ期待できます。

 

2020年10月31日罪の声

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