でいりいおくじょのBLOG

2014.02.27

読書日記 旅行者の朝食 (米原万里著) 

ソチオリンピックの影響で

にわかにロシア料理への関心が高まっているようですね。
 

ロシア料理といえばボルシチとかピロシキとかが有名ですが

私と同じくらいの年代の関西人なら

まっさきに思い浮かぶのは

パルナスじゃないですかね。

テレビのCMで流れてきた物哀しいメロデイー

ズンチャッチャ、ズンチャッチャ

パルナス、パルナス、モスクワの味~♪

(PCでパルナス曲と検索すれば聞くことが出来ますので、聞いてみてください)
 

パルナスがどんなお菓子だったのか、今となっては全く思い出せないのですが

とにかく、おとぎの国のロシアからやって来た

モスクワの味のするお菓子なんです。
 

大学の時に、ロシア語を専攻していた友人が

暗い顔で、

パルナスはPから始まるのではなくHから始まるんだよね。

といっていたのが、その物悲しい音楽とかぶります。

彼女は、ロシア語学科のなのに、辞書をひくというところで大きく挫折していたのでした。
 

ロシア語というのは、相当難しい言語らしい、というのが頭にあったので

ロシア語の同時通訳などという仕事ができるなんて、もはや超人としか思えません。
 

さてさて、ようやく本題です。

ロシア料理について書いてある本はないかと考えていたら

頭に浮かんだのは、ロシア語同時通訳者の故米原万里さん
 

米原さんいわく

同時通訳者というのは、とにかくいろんなことを知っていなければならなくて

というのも
 

そもそも、ロシア語だけではなく他のヨーロッパ文明圏の言語を話す人達は

ギリシャ語やラテン語といった古典語の素養があるということが

ある意味ステータスシンボルなので

会話の途中で、突然ギリシャ語やラテン語の慣用句や有名な詩の一節なんかが

原文のまま口から出てくることがあるそうなんです。
 

翻訳者なら、ゆっくり調べることも出来ますが

通訳者というのは、その場で翻訳するわけだから

その時自分が持っている、教養や知識で勝負するしかない。
 

そうなると、ロシア語だけでなく、ギリシャ語、ラテン語はもちろん

常日頃から、古典にも神話にも詩にも

あらゆることに通じている必要があって
 

だからというのも変ですが

米原さんの教養や知識の広さ、深さは超人並みにすごい!!
 

結果、米原さんの書かれるものは、どれを読んでもものすごく面白い!!

その中から、特に今回選んだのは
 

『旅行者の朝食」文春文庫 
 

この本は、

ほぼ8割位は食べ物の話。

前半はロシア事情や、ロシアの食べ物、食べ物起源やたものにまつわる物語

などについて書かれたエッセイ 

後半は、日本の食べ物について、食べまくる爆笑グルメエッセイ集です。
 

ちなみにタイトルと見ると

旅行のガイドブックか朝食の話をまとめてあるように見えますが

全くそうではありません。
 

旅行者の朝食、というのは

肉と野菜をどろどろに煮たものが入っているものすごくまずい缶詰の名前。

私有財産を否定していた旧ソ連では

商品に購買意欲をそそるような名前をつけてはいけないそうで

いかにも禁欲的な社会主義的美意識を反映した名前なのです。
 

ところが、こんなまずいのに、この缶詰の生産を中止するとか

中身を美味しく改善するとか、という風にはならないで

この缶詰を皮肉った小話を作って、ゲラゲラ笑うのがロシア人
 

この旅行者の朝食という名の缶詰より、更にまずいのが

「昆布のトマト煮」

ゴルバチョフ政権の末期の極端にもの不足のさなかでさえ

閑散としたスーパーマーケットのタネに大量に残っていたという強者らしい

これをもしかしたら、言うほどまずくないかも・・・

と淡い期待をもって試食するのだけれど

味覚の相違という生易しい言葉で片付けられない保護強烈なまずさだったらしい
 

その他

コロンブスがヨーロッパに持ち帰ったじゃがいも

今やロシアは世界有数のじゃがいも生産国なのですが

じゃがいもが普通に食べられるようになるには

とてつもなくながいみちのりがあり

時に、王様が法令を出して栽培させて食べることを奨励しても

国民から反発にあい、じゃがいも一気にまで発展して

食べるのを拒否した話とか
 

アレキサンダー大王が遠征の時

キャベツは体にいので、きゃべつを食べろ

とみなに勧めたことで、きゃべつがアジアに広がっていったとか
 

読むだけでもためになり、ふふふと笑える食べ物ネタ満載です。
 

それにしても

まあ、すごいスピードですごい量の食べ物を、

次々と平らげていく、

米原万里さんの消化力と胃の容量がとにかく半端ない。
 

そして、著者によるあとがき

ここが一番笑えました。
 

体についた脂肪を、例えば寝ている間に電力に変える装置が発明されれば

ダイエットとエネルギー問題が一気に解決するはずだ。

そんな発明を誰かがしてくれることを期待している
 

いやあ~、参りました。

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