でいりいおくじょのBLOG

2018.10.31

料理研究家の仕事って・・・。

幅広い年代の肖像画1万5千点以上をAIに分析させ

そのAIに描かせた肖像画が、

ニューヨークで競売にかけられ

なんと4800万円の値がついたのだそう。

天声人語で読んだ話。

 

AIが芸術の世界にも進出し始めているのですね。

 

今後数十年の間に

今、人間がやっている仕事が、大きくAIにとってかわられようとしています。

 

そう考えると

料理の仕事も、うかうかしてはいられません。

 

今、世の中にあふれている、ものすごい数の料理レシピを

AIが取り込んで、分析して、ニーズに合わせて提供し始める

そんなことになる日も、近い気がするのです。

(もしかしたら、もう始まっているのかも)

 

実際に

某中華料理店では、一流シェフの中華鍋の降り方とか、なべの温度などを

AIに覚えさせて、シェフと同じ味の炒飯が作って提供していたり

お酒のカクテルなんかも、AIが正確においしいのを作って提供してくれるバーがあって

大盛況だそうですし。

 

そういう風に考えていくと

この先、料理研究家という仕事はなくなってしまいそうだけれど

いやいや、絶対なくなりはしないと、私は思う。

 

例えば

 

うちの近所に、手作りキムチを売っているお店があって

手作りなんで、キムチの味が毎回違うんです。

すごくおいしい時もあれば

すごくすっぱい時もあり

時には、今回どうしたんだろうっていうくらい、味が足りないときもあるの。

 

でもね、その味のばらつきが、何とも言えず楽しくて

売っているおばちゃんの人柄も相まって

やっぱり、そこで買いたくなる。

 

それと同じように、

家庭料理って、毎回完璧に味が決まっているよりは

今日はばっちりおいしくできたわ~という日もあれば

今日ななんか、味が決まらないわあ~という日もある

そういう、あいまいな部分にこそ、人間らしさがあり

そこに、優しさや温かさや美味しさというものの正体が

あるような気がしていて

 

だからこそ、また作りたくなったり、また食べたくなったりするんだと思う。

 

それこそが、人間がAIに勝てる部分なのかなと思うのです。

 

そういう、あいまいで、不確かな部分にこそ

料理の楽しさがあることをいかに伝えていくか、

それが料理研究家の仕事になっていくのかもしれません。

 

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コメント

  1. Yuri Muto より:

    奥薗壽子先生

    日記読ませていただいて、
    数年前、地域の寄り合いの差し入れに、と近所のご婦人方が握ってくださったおむすび?の味を思い出しました。それはコンビニのおむすびのように完璧なものでなく、形がちょっと不揃いだったり、モノによっては塩気が強かったり中身の具が少なかったりするんですが、なんとも言えず、あったかくて優しい味がして、食べていてホッコリしたんです、コンビニおむすびよりも。勿論、研究され尽くしたコンビニおむすびはハズレなく美味しいんですが、人の手で一個一個握られたものは何か味が優しくて、個性的で美味しい。

    東洋医学的には、人の手(手のひらの真ん中あたり、労宮?)からは「気」が出てるんだとか。人の手によるおむすび?が美味しいのは、だからなのかもしれせん(非科学的で曖昧かもしれませんが)。
    人にしか出せない味…完璧ではない、けれど揺らぎのある美味しさ….きっとあると思います。

    先生の日めくりレシピ、どれも無茶苦茶美味しいです。今日は豚肉と厚揚げのオイスターソース煮を作りました。主人や子どもたちに大人気!家族全員笑顔になりました。本当にありがとうございました。

    1. 奥薗壽子 より:

      作ってくださって、ありがとうございます。
      美味しくできたといってもらえるのが、何よりも励みになります。本当にうれしいです、ありがとうございます。

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